守ってやるよ

「雪遊びするか!」

「えっ…」



雪遊び…。



観里が死ぬ直前、あたしと約束して果たされなかったこと。



どうして…?



「ほら、とりあえず着替えな」

「待って、あたし、やるって言ってないよ!」

「いいから」



千里に半ば強引に部屋に押し込まれ、あたしは渋々着替えをする。



雪はあたしのトラウマだ。



観里としたかったことを千里とこれまで一緒にやってきて、少しは前に進んだあたしだけど。



雪だけはまだダメなの…。



それに、雪遊びって…。



千里はあたしと観里が約束してたのを知ってて言ってるんだろうか…。



適当に着替えたあたしは千里の前に出た。



千里はあたしを見て顔をしかめる。



「外出る気ないだろ」

「だって…」

「ほら、セーター着て上着着てマフラーと手袋もしろよ」



千里はあたしの部屋に入って勝手にクローゼットを開けた。



そんな、いくら幼なじみだからって乙女のクローゼット勝手に開けないでよ…。



でもあたしの抗議は無視される。



そして、千里によってあっという間にあたしは防寒対策ばっちりの恰好にさせられた。



「ほら、行くぞ」



そう言って手を引かれる。



あたしは手を引かれるがまま外に出される…。



もういいか…。



諦めようと思ったけど、外に出て雪景色を見たらやっぱり体が固まった。



「千里…やっぱりやめよう」



あたしがそう言うと、千里はあたしの方に歩いてきた。



それから真剣な顔であたしを見る。



「観里と…約束したんだろ? あの日、雪遊びしようって…」

「え…?」



どうしてそれを…千里が知ってるの?



「前の日…俺もそれ聞いてたんだよ。『芽衣に誘われたけど千里も行く?』って…。それで…俺…」



そう言ってから千里は黙ってうつむいた。