守ってやるよ

そんな冬のある朝。



鋭く冷え込む空気にあたしは目を覚ました。



そして、窓の外に広がる景色に言葉を失くす…。



雪景色…。



辺り一面雪に覆われている光景は、あたしにあの日のトラウマを呼び起こさせた。



苦しい…。



息…できない。



気が付けば過呼吸みたいになってた。



助けて…。



助けて、千里…。



そのとき、あたしのスマホに着信が入った。



『千里』



ディスプレイに表示されるその文字に、息がやわらいでいくのを感じる。



スマホを取って電話に出た。



≪大丈夫か？≫



千里の第一声。



「千里…」



あたしは心配する千里の声に落ち着きを取り戻した。



≪今日は学校サボるか～。今からそっち行っていいか？≫

「いい…の？」

≪おう≫



その言葉通り、千里はすぐにあたしの家に私服でやってきた。



「顔面蒼白って感じだな」



あたしの顔を見ると、千里は軽くそう言った。



「朝ごはん食ったか？」

「まだ…」

「親は？」

「仕事行った…」

「とりあえず飯食え飯」



千里はそう言って家に上がり込み、キッチンにずんずん進む。



それから、ダイニングの上にお母さんが用意してくれたラップのかかった朝ごはんを見て、それを電子レンジに入れて温めた。



それからお味噌汁を温めなおして、ご飯もよそって、あたしの前に一通りの朝ごはんを出してくれた。



「親みたいだね…」

「まあ今は芽衣の保護者みたいな気持ちかもな」

「ありがと…」



千里が温めてくれたお味噌汁を両手で持ってゆっくりと飲んだ。



ホッとする…。



あたしは目の前の朝ごはんをゆっくりと全部食べた。



千里は洗い物までしてくれて。



それからびっくりすることを言った。