守ってやるよ

「また泣いて…」

「ごめん…もう条件反射なんだもん…」

「好きなだけ泣きな…」



あたしが泣いている間、千里はあたしの頭をさすってくれる。



観里と全然違うのに、観里に触れられているような気がした。



それから夏休みが明けて、千里はあたしと約束通り色んなことをしてくれた。



花火大会だけはもう終わってしまって間に合わなくて。



「来年行こうな」

「うん…約束ね?」



千里と指切りをした。



観里と果たせなかった約束を、来年、千里と約束した。



千里はもう今となってはあたしにとって凍った心を溶かしてくれる存在で。



あたしも大分笑顔が増えたよ。



心の彩も増えた気がする。



観里がいるあの日から、少しは進むことができたのかもしれない…。



それから季節は流れて行った。



あたしと千里はあれから色んなことをした。



あたしが観里とやりたかったこと。



千里がなんでも叶えてくれた。



あたしと千里の距離は、確実に縮まっていた。



そして、あたしの心も段々と前を向き始めていた。