守ってやるよ

それから宿題はひと段落。



お母さんが出してくれたお菓子とお茶を2人で飲む。



「この前の話だけど」



千里が言った。



「うん?」

「芽衣をあの日に置き去りにしないって話」

「…」



なにを言うんだろう…。



千里にあのときああ言われて嬉しかった。



それでも心はまだあの日に残っていたいと思ってる。



「無理にどうこうとかは思ってねえよ。俺が口でいくら何か言ったって心は簡単に変わらないだろうし」

「うん…」

「だからさ、まずは…観里と一緒にしたかったことがあれば、一緒にやろう」

「え…?」

「俺で役に立つかどうかは分からねえけど。固まった心を前に動かすことくらいはできるだろ」



観里としたかったこと…。



そんなこと、たくさんある…。



高校生になったら一緒にやろうねって約束したこともたくさん。



「あたしね、放課後…制服でカラオケとかに行きたかったよ。観里と2人でも行きたかったし、千里と3人でも遊びたかった」

「カラオケ? 分かった。夏休み明けたらな」



他にもしたかったことはたくさんあって。



一緒にする試験勉強のための勉強合宿とか。



バッティングセンターに行ってみるとか。



花火大会を見に行ったりなんかも。



あれもこれも、観里とやりたかった…。