守ってやるよ

~芽衣~

じりじりとする夏が続く。



あたしと千里は変わらぬ毎日を過ごす。



そして最近は、不安になる夜に、たまにあたしから電話をかけたりする。



「千里…」

≪どうした?≫

「眠れなくて…」



遅い時間にもかかわらず文句も言わずあたしに付き合ってくれる千里。



あたしはそんな千里に甘えっぱなしだ…。



≪今日は何してたんだ?≫

「今日はお母さんと料理教室行ったよ」



夏休み中のあたしたち。



夏休み、正直なにも嬉しくない。



家に一人でいてもつらいだけだし、友達だっていない。



なんの目標も目的もなくただなんとなく生きてる毎日…。



“芽衣は芽衣の好きなようにしたらいいんだよ”



いつもあたしにそう言ってくれていた観里。



あたしのしたいことはなんでも応援してくれていた。



今のあたしは「好きなようにする」すらできない…。



したいことが何もないの…。



お母さんがそんなあたしを見かねて、自分が通ってる料理教室に連れてきてくれて、とりあえずそれに通って夏休みをしのいでる。



≪へー、いいじゃん。何作ったんだよ≫

「親子丼とか作ったよ。デザートにプリンも」

≪ふーん、今度俺にも作れよ≫

「いいよ」