守ってやるよ

「芽衣…」



あたしはその場でしゃがみこんで泣いた。



涙は止まらない。



何で泣いてるのかももはや分からない。



でも心の中で観里と叫んでいるのは事実。



千里が泣くあたしをそっと抱き寄せた。



千里は…温かかった。



あたしの涙は流れ続ける。



「怖かったよ…」

「そうだよな…」

「それに、苦しかった…。観里がいない世界で、こんなにつらいことが起こるんだって。あたしを守ってくれる人がどこにもいないって…。でも千里がいたね…」



千里が、観里の代わりにあたしを守ってくれる。



それだけが確実にそうなんだと分かったの…。



観里のいない世界は怖いけど…。



千里があたしを守ってくれるなら。



あたしはもう少しこの世界で頑張って生きてみる…。



それから千里の腕の中でしばらく泣いていて。



優しくあたしに接する千里に救われた。



そのあと、相川さんたちは無期停学が決まって。



あたしの学校生活は穏やかなものになった。



相変わらず友達はできないけど…。



まあそれは別にいい。



千里が約束通り本当にあたしのことを守ってくれた。



その事実が嬉しくて、でもやっぱり観里がいないことを突き付けられた気もして、複雑ではあるけれど。



それでも、あたしの心に一色くらいは色が戻ったような気がした。