守ってやるよ

千里に引っ張られるように歩くと、千里の教室に来た。



千里のクラスの人も、何があったのかというようにあたしをジロジロ見てひそひそと何か言っている。



そんなクラスの人たちを千里がにらみつけて。



それから千里の体操服をあたしに渡して、また手を引かれて更衣室前まで連れてかれた。



「それ、俺が着たあとのやつで嫌かもしんねえけど…。今のままよりマシだろ。着てこいよ」



あたしはその言葉におとなしく従った。



服を脱いで千里の体操服を着ると、千里の匂いに包まれた。



不思議と心地よくて…。



さっきまでのざわざわしていた気持ちが少し落ち着くのを感じた。



着替え終わってから更衣室を出ると、外で待っていた千里があたしを見てうなずいた。



それから、またあたしの手を引いてずんずんと歩き出す。



「待って千里…早いよ。どこ行くの?」

「お前のクラス」

「あたしのクラスって…」



そのまま手を引かれるまま、あたしの教室にたどり着く。



相川さんたちは机に座って何かで盛り上がって笑ってて。



あたしと千里が教室に入ってくるのに気が付いた。



「うわ~、男のジャージ着てんじゃん。男に媚びててキモ~」



相川さんがそう言って、周りの子が笑う。



千里が見たことない表情を浮かべた…。



怒ってるなんてものじゃない…。



千里があたしを置いて、相川さんに近づいた。



「お前ふざけるのもいい加減にしろよ」



低い声でそう言う千里。



「は、何が!?」



相川さんも千里の尋常じゃない様子に焦ってるみたい。



それから、千里がドン! と相川さんの座る机を鋭くグーで叩いた。



びくっとする相川さん。



「次芽衣に手出したら俺本気で殴るからな。女とか関係ねえし」



相川さんは何も言えなくて。



クラスもシーンとしてる。