守ってやるよ

「お前がいじめられてるの、俺は嫌だ。お前が気にしてないのも」

「…」

「なんで芽衣がそんな目に合わないといけないんだよ。やったやつ誰?」

「クラスの…相川さん」

「あの派手な奴か」



千里は大きくため息をついた。



それから真剣な表情であたしを見る。



「なんで芽衣が気にしてないかって、それだけ心の感情に蓋してるってことだろ…?」

「まあ…そうかもね」

「俺は…どうすればいい?」



切ない顔でそう言う千里。



どうすればって…。



なんでそんなに考えてくれるんだろう…。



「どうもしなくていいよ…。気にしてないのは本当だし」

「でも…」

「それにどうにもできないでしょ?」



千里がどれだけ怒ってくれても、どうしようもないじゃん…。



千里は納得していない顔だったけど、始業の時間が近づいて、千里を促すように教室に戻った。



でも、それからもいじめは続いて。



下駄箱にゴミ詰められたり…。



机の落書きも堂々としてきた。



太いマジックで『消えろ』とか書かれちゃってる。



あたしだってこの世から消えられるもんなら消えたいよ。



あと体操服もずたずたにされた。



体育の授業に出られないので、とりあえず千里を誘ってまたサボる。



「はあ? 体操服切られた?」

「さすがに腹立ったよ」

「なあ…まじでキレに行っていいか?」

「ええ…余計面倒なことになるじゃん、やめてよ」



千里にまで迷惑になるかもしれないし。



それだけは絶対にいや。