守ってやるよ

「まじ最悪なんだけどお~、あんたちゃんとキャッチボールできんの?」

「…」



あたしは無視。



それに腹が立ったのか、相川さんはイライラしはじめた。



ボールをわざと遠くに投げてあたしに取りにいかせたり。



のくせに、あたしがミスって遠くに投げると「どこ飛ばしてんだよ!」と怒鳴ってくる。



どうでもいいと思ってたけど、あたしもだんだん腹が立ってきた。



次に無茶苦茶なところにボールを投げられたとき、「さすがにふざけすぎでしょ」とつい口にした。



それを聞いてみるみる怒りの表情を浮かべる相川さん。



そこからだった。



あたしのいじめは次の日から過熱することになる――。



朝、登校すると机の上に死んだ金魚が浮かんだ水槽が置かれてた。



クラスで飼ってる金魚…。



相川さんの方を見ると友達とゲラゲラ笑ってる。



あたしはその集団をにらみつけた。



でもやり合うのもめんどくさい…。



あたしは渋々その水槽を持って校舎の外に埋めに行った。



かわいそうな金魚の金ちゃん…。



元々弱ってたから多分あたしのために殺されたわけじゃないと思うけど…。



あたしは土に埋めてから手を合わせる。



そのとき、後ろから「何やってんだ?」と千里の声がした。



「千里…」

「何拝んでんの?」

「いや~、かくかくしかじか」



あたしは今朝起きたことのあらましを千里に伝えた。



千里は驚いた顔。



「お前、それ平気なの?」

「なにが?」

「いじめられてて」

「いや~、良い気はしないけど、別に…」



あたしがそう言うと、千里はなんだか悲しそうな顔になった。