〜〜〜…ピピピピピー

後ろの方からクラクションの音が鳴った。

後部座席で長旅の疲れを取るため
休んでいた私の心臓の鼓動が早くなった。

母「あ〜もうお父さん。何しているのよ。」

父「あ〜ごめんごめん。ボーッとしていて…
咲、後ろ大丈夫か?」

父も母も長旅での疲れが溜まっているようだった。

私は起き上がって車の窓から外を見た。
もうあたりは暗く、灯りは街灯がところどころ、
チカチカと光るだけ。人は歩いていない。

しばらく走ると大きな灯りが見えてきた。

あれがおじいちゃんとおばあちゃんの家かぁ。
古いけど大きいなぁ。

おばあちゃんが手を振って待っている。

祖母「和彦、あなた全然電話出ないんだもの。
心配したわ。咲ちゃん久しぶり。大きくなったね。
お腹すいたでしょう。お家に入りなさい。
幸枝さんも、お久しぶりね。」

おばあちゃんの家は、玄関の引き戸を開けると
土間があって、教科書でしか見たことがないような家だった。

父「やっぱり田舎は寒いなぁ」

確かに、都会に比べてまだ雪がちらほら残っている。
夜の気温は、まだ一桁台。
家が古いからか、外の風がヒューヒュー聞こえる。

土間から、座敷を進むとおじいちゃんが居た。

父と母がおじいちゃんに挨拶しても
おじいちゃんは、何も話さない。
まるで目で会話しているように。

ちょっとだけ怖いかも。