2010年 春 

…♪
…電話の音で目が覚める

父「分かってるよ。父さん。今から出るから明日の夕方にはそっちに着くよ。」…

母「咲〜早く準備しなさい。ご飯出来てるわよ。」

(友達の寄せ書きを見る)

私は産まれてからずっと都会で暮らしてきた。
友達もそこそこ居た。
かといって、親友が居たかと聞かれても居ないかも。

(寄せ書きをゴミ箱に捨てる。)

私の父は、優しいけど優柔不断なところがある。
例えばご飯を食べに行っても、
どこに行くのにも、自分で選べない。

母は、ごく普通の専業主婦。
口癖は「女の子なら〜…」である。

去年の冬、急に父の転勤が決まった。
優柔不断な父だから、良いと言う前に
話に流されたんだろうと思う。
偶然にも父の生まれた場所だそう。

父は私が産まれてから、一度だけ連れて行ってくれた。

そこは、飛行機で1時間、空港から最寄り駅まで1時間
更に電車で3時間、車で30分の山と川で囲まれた村だった。

多分、記憶では曖昧だけど5歳くらいかな?
初めておじいちゃんとおばあちゃんに会った。

厳しいおじいちゃんと
優しく迎えてくれたおばあちゃん。

〝それから、9年、父は一度も田舎に帰らなかった。〟

何で帰らないのか分からないし
聞いたことも無かった。

でもまぁ明日からは、
父の故郷での生活が始まるし、
期待はしてないけど楽しみかも。