【清好堂】
「こんにちは!」
「また来てくれたの?嬉しいわね。今日は、一人?」
「そうなんです!」
「ゆっくり見ていってね。と言っても、今日もほとんど予約で出ちゃって。」
「私、もう決まっているんです!黄身時雨とみたらし団子をお願いします!」
「はい。今、お茶を淹れるから良かったら食べていかない?」
「やったー!お言葉に甘えて。」
お茶のサービスもイートインも、本来はしていない清好堂。おばあちゃんの優しさが、また身に染みる。
おばあちゃんと話していると、ホッとする。私も、おばあちゃんのような心の温かい人になりたい。あれ?この感じ、どこかでも味わったことがあるような気がする。気のせいかな。
「はいどうぞ。」
「いっただきま〜す!」
「うふふふ。」
「美味しい!いつ食べても!心がぽっかぽかになる感じ!」
「うふふふ。嬉しい事を言ってくれるのね。」
「そうだ。いつも聞こうと思って忘れちゃうのよね。あなた、お名前は?」
「私、小百合ヶ丘学園芸術コース音楽科器楽部ピアノ専攻をしています、華待真瑠璃と申します!」
「まあ⁉︎真瑠璃ちゃん。可愛いお名前ね。ピアノのお勉強をしているの⁉︎」
「はい!」
「私の娘も、ピアノをずっと習っていたのよ。制服をみるだけで懐かしいわね。」
「娘さんも音楽科で⁉︎」
「ううん。娘はね、特待コースで東京大学を目指していたんだけれどね。幼稚園の頃からずっと、『夢はパパのようなお医者さんになって困っている人たちを助けたい』って。主人もとても喜んで、いつも娘の勉強をみていたわ。それがどういうわけか、高校三年生の卒業式で突然、ピアノでウィーンへ留学したいって言い出してね。」
「えー⁉︎」
「ピアノは幼稚園の頃からずっと続けていたのよ。勉強がどんなに忙しくても、絶対に辞めたくないって。大好きだったのよね。でも、うちのお父さんはお医者さんだから、娘にも医学部へ行って欲しかったのよね。」
「そうだったんですね……娘さんは今は?」
「今は、どうしているのかしらね。ウィーンから戻ってきた時に、結婚したい人がいるって連れてきてくれたんだけれどね。お父さんが反対したものだから、それから連絡が取れなくてね。もう五年前の話なのよ。」
「そんな……」
「ごめんなさいね。ついついこんな話しを。真瑠璃ちゃんとお話ししていたら、なんだか元気が湧いてきたわよ。」
おばあちゃんの目に光る涙。
きっと、大切な大切な娘さんが今どうしているのか、心配で仕方ないんだ。
会いたくて仕方ないんだ。
私にできることはあるのかな。
何か、おばあちゃんの力になれること…。
「また遊びに来ても良いですか?」
「まあ、嬉しいわね!」
「これ、お代です!ここへ置いておきますね!ご馳走様でした!」
「あっ、真瑠璃ちゃん、お代はいいのよ!」
「ダメです!それじゃないと、またここへ来られないから!」
私はおばあちゃんに手を振りながら、表通りへと走った。微笑むおばあちゃん。
おばあちゃんと話していると、心が幸せで満タンになる。最近、心がちょっぴり疲れていたけれど、もう大丈夫!すっかり復活したよ!
「こんにちは!」
「また来てくれたの?嬉しいわね。今日は、一人?」
「そうなんです!」
「ゆっくり見ていってね。と言っても、今日もほとんど予約で出ちゃって。」
「私、もう決まっているんです!黄身時雨とみたらし団子をお願いします!」
「はい。今、お茶を淹れるから良かったら食べていかない?」
「やったー!お言葉に甘えて。」
お茶のサービスもイートインも、本来はしていない清好堂。おばあちゃんの優しさが、また身に染みる。
おばあちゃんと話していると、ホッとする。私も、おばあちゃんのような心の温かい人になりたい。あれ?この感じ、どこかでも味わったことがあるような気がする。気のせいかな。
「はいどうぞ。」
「いっただきま〜す!」
「うふふふ。」
「美味しい!いつ食べても!心がぽっかぽかになる感じ!」
「うふふふ。嬉しい事を言ってくれるのね。」
「そうだ。いつも聞こうと思って忘れちゃうのよね。あなた、お名前は?」
「私、小百合ヶ丘学園芸術コース音楽科器楽部ピアノ専攻をしています、華待真瑠璃と申します!」
「まあ⁉︎真瑠璃ちゃん。可愛いお名前ね。ピアノのお勉強をしているの⁉︎」
「はい!」
「私の娘も、ピアノをずっと習っていたのよ。制服をみるだけで懐かしいわね。」
「娘さんも音楽科で⁉︎」
「ううん。娘はね、特待コースで東京大学を目指していたんだけれどね。幼稚園の頃からずっと、『夢はパパのようなお医者さんになって困っている人たちを助けたい』って。主人もとても喜んで、いつも娘の勉強をみていたわ。それがどういうわけか、高校三年生の卒業式で突然、ピアノでウィーンへ留学したいって言い出してね。」
「えー⁉︎」
「ピアノは幼稚園の頃からずっと続けていたのよ。勉強がどんなに忙しくても、絶対に辞めたくないって。大好きだったのよね。でも、うちのお父さんはお医者さんだから、娘にも医学部へ行って欲しかったのよね。」
「そうだったんですね……娘さんは今は?」
「今は、どうしているのかしらね。ウィーンから戻ってきた時に、結婚したい人がいるって連れてきてくれたんだけれどね。お父さんが反対したものだから、それから連絡が取れなくてね。もう五年前の話なのよ。」
「そんな……」
「ごめんなさいね。ついついこんな話しを。真瑠璃ちゃんとお話ししていたら、なんだか元気が湧いてきたわよ。」
おばあちゃんの目に光る涙。
きっと、大切な大切な娘さんが今どうしているのか、心配で仕方ないんだ。
会いたくて仕方ないんだ。
私にできることはあるのかな。
何か、おばあちゃんの力になれること…。
「また遊びに来ても良いですか?」
「まあ、嬉しいわね!」
「これ、お代です!ここへ置いておきますね!ご馳走様でした!」
「あっ、真瑠璃ちゃん、お代はいいのよ!」
「ダメです!それじゃないと、またここへ来られないから!」
私はおばあちゃんに手を振りながら、表通りへと走った。微笑むおばあちゃん。
おばあちゃんと話していると、心が幸せで満タンになる。最近、心がちょっぴり疲れていたけれど、もう大丈夫!すっかり復活したよ!


