最愛から2番目の恋

「あの、聖女様にお願いして、アストリッツァまで来ていただく事は無理なのでしょうか……
 今、妹を動かすのは危険としか思えないのです……」

「なら、諦めるんだな。
 治療を受けたいなら、クロスティア国内、それも聖女の家で、だ。
 友人は……妻を最優先にする男だ。
 身籠ったばかりの妻を、人を助けるためだろうが、他国へは送らない。
 どんなに金を積んでも、報奨を餌にしても、無駄だ。
 友人は、絶対に妻と子を危険には晒さない。
 相手が他国の公女だろうが……自国の王太子だろうが、それは少しも譲らない。
 あいつが大切に想うのは、妻だけだからな」

 当然のセシオンの逡巡を、テリオスは冷たく突き放した。


「貴方達獣人が声高に言う番か。
 私達にはその番と呼ばれる存在は無い。
 だが例え、それが番ではなくても、生涯『ただひとりのひと』だけを愛して……
 そのひとしか愛せない人間は、確かに存在する。
 その男がそんな人間だ。
 獣人の言う番が、そいつに取っては妻なんだ。
 それを聞けば公子なら、その男の気持ちは理解できるだろう?」

「……えぇ、ご友人が奥様を最優先に考える気持ちは、理解出来ます。
 分かりました、これから妹を……」

「待て! セシオン!」


 テリオスとセシオンのやり取りに、無視された形のヴァルチ公爵が口を挟んだ。