一体、何を口走ってしまったんだ。他にも余計なことを口にしていないだろうか。睡魔に屈してしまった過去の自分を呪いつつ、冷や汗をかきながら弁明した。

「え、えっとね。マシュマロはもちろん好きだけど、うちで飼っている犬の名前がマシュマロなの……」
「へえ。そうなんだ。犬種は?」
「ま、マルチーズです」
「……なるほど。さぞ可愛いんだろうね」
「うん! それはもう! 思わず食べちゃいたいくらい!」
「ちなみに命名したのは……?」
「わたし!」

 胸を張って元気よく答える。
 何かがツボに入ったのか、三牧くんが顔を横に逸らして肩を震わせている。その反応は親友の小奈都(こなつ)ちゃんと同じもので、わたしは思わず唇を尖らせた。

「マシュマロの魅力は実際に会ってみたらわかるよ。三牧くんだって虜になること間違いなしの愛くるしさなんだから」
「……き、機会があれば、ぜひ」
「むう」

 三牧くんはまだ笑いをこらえている。
 頬を膨らませていると、三牧くんが「ふふっ」と声を上げて笑った。あどけない笑顔につられて、わたしも笑ってしまった。

 ◇◇◇

「園川さん、起きて」