「すみませんでした……」
「大丈夫だよ。顔を上げて、園川さん」
「へ?」
きょとんとしていると、目の前にいたのは同じクラスの三牧くんだった。
温和な性格と中性的な顔立ちがクラスの女子のハートをつかみ、彼女たちが鑑賞用として密かに愛でている男子だ。確か女子たちの中で「爽やか王子」と呼ばれていた気がする。
教室でも伏せ目がちに本を読む姿は、写真に残しておきたいほど様になっていた。いつ妖精の森に誘われてもおかしくないという意見もおおむね同意だ。
けれども、個人的には王子様より天使のほうがしっくりくる。わたしが筆記用具を床にぶちまけたときも率先して拾ってくれ、それからも困ったときは何かと手助けしてくれるのだ。前世は天使に違いない。
三牧くんは長い睫毛を瞬かせ、優しく語りかける。
「睡眠は大事だよね。僕のことは背もたれだと思って、気兼ねなく寄りかかってほしいな。園川さんは羽みたいに軽いから全然気にならないし」
「……で、でも読書の邪魔に……」
「ならないよ。園川さんの安眠のために役に立てるなら本望だから」
「え、え?」
「大丈夫だよ。顔を上げて、園川さん」
「へ?」
きょとんとしていると、目の前にいたのは同じクラスの三牧くんだった。
温和な性格と中性的な顔立ちがクラスの女子のハートをつかみ、彼女たちが鑑賞用として密かに愛でている男子だ。確か女子たちの中で「爽やか王子」と呼ばれていた気がする。
教室でも伏せ目がちに本を読む姿は、写真に残しておきたいほど様になっていた。いつ妖精の森に誘われてもおかしくないという意見もおおむね同意だ。
けれども、個人的には王子様より天使のほうがしっくりくる。わたしが筆記用具を床にぶちまけたときも率先して拾ってくれ、それからも困ったときは何かと手助けしてくれるのだ。前世は天使に違いない。
三牧くんは長い睫毛を瞬かせ、優しく語りかける。
「睡眠は大事だよね。僕のことは背もたれだと思って、気兼ねなく寄りかかってほしいな。園川さんは羽みたいに軽いから全然気にならないし」
「……で、でも読書の邪魔に……」
「ならないよ。園川さんの安眠のために役に立てるなら本望だから」
「え、え?」



