バス通学の園川さんと寮生の三牧くん

「あの、あのね。まだ正直、恋とか愛とかよくわからなくて。でも三牧くんは他の男子とは違って、一緒にいてふわふわするし、特別な存在だから……。……まずはお試し期間から、でどうでしょうか!?」
「お試し期間?」
「えっと、本格的なお付き合いの前段階と申しますか、準備期間を設けたいと申しますか。恋心を育て始めて間もないから、自分の気持ちを整理する時間が欲しいな、なんて」
「…………」
「ご、ごめんねっ。こんなの、わたしばかり都合がよすぎるよね……」

 しゅんとうなだれていると、焦ったような声が聞こえてきた。

「ううん! お試し期間の案はいいよ、すごくいい。いきなり付き合うのもハードルが高いもんね。ゆっくりお互いのことを知っていこう」
「……い、いいの?」
「もちろん」
「よ……っ、よかったぁ! ありがとう三牧くん!」
「どういたしまして。それじゃあ、園川さん。これからは彼氏(仮)として、よろしくね」
「うんっ! えへへ……仮とはいえ、誰かの彼女になれるなんて夢みたい」