バス通学の園川さんと寮生の三牧くん

「実は、園川さんと初めて出会ったのは体験入学だったんだ。一目見たときから可愛いなと思ってて。入試でまた会えないかなと思ったけど、人が多すぎて結局見つからなかった。入学式で同じ高校の制服を着た君を見て、本当に驚いた。こんな偶然あるんだって。そう思ったら、もう君のことしか考えられなくなってた」
「……っ……!?」
「バス通学だと放課後も遅くまで残れないでしょ。委員会や部活も違うし、うちのクラスは男女でつるむことが基本ないし……。正直なところ、せっかくできた接点がなくなって今すごく焦ってる。僕はもっと君とお喋りしたい。一緒にいたい。だから、クラスメイト以外の関係性が欲しいんだ」
「か、関係性?」
「友達とか彼氏とか恋人とか愛する人とか、そういうの」

 至極真面目な顔で説明され、わたしは神妙な顔で聞き入る。
 具体例を出してもらったのでイメージがしやすい。けれど、提示された案を脳内で繰り返して、ふと首を傾げた。

「うん……? 最初以外、ほとんど意味合いが同じような気が……?」
「親密度や愛の重さが違うよ。僕としては二番目がおすすめ」
「…………二番目って、彼氏様?」
「様はなしで」