三牧くんの優しい声で、目を開ける。寝ぼけた頭で「おはよう」といつものように笑いかけると、彼の様子が少し違うことに気づいた。
珍しく愁いを帯びた表情で、心なしか顔も強ばっている。
「三牧くん……?」
名前を呼ぶと、三牧くんは唇を引き締めた。何かを決心したような気迫に、自然とわたしの背筋もまっすぐになる。
「園川さん。今日の放課後、少しだけ時間をもらってもいいかな」
「? う、うん。いいよ」
「ありがとう」
放課後、三牧くんに連れられた先は意外な場所だった。
体験入学で迷い込んだ庭園だ。今は初夏らしく、ポピーの花が満開だった。赤、黄色、白、オレンジのカラフルな花畑が広がっている。
だが、ここは裏門近くの奥まった場所にあるため、教室がある普通棟から結構距離が離れており、他クラスからの認知度は低い。何度か、緑地土木科の生徒が実習服で作業しているのを遠目で見かけたことがあるぐらいだ。
ビジネス総合科の授業は商業科のような内容なので、同じ高校でも別の学科が何をしているのかは未知の領域である。まさか、三牧くんがこの場所を知っているとは思わなかった。
珍しく愁いを帯びた表情で、心なしか顔も強ばっている。
「三牧くん……?」
名前を呼ぶと、三牧くんは唇を引き締めた。何かを決心したような気迫に、自然とわたしの背筋もまっすぐになる。
「園川さん。今日の放課後、少しだけ時間をもらってもいいかな」
「? う、うん。いいよ」
「ありがとう」
放課後、三牧くんに連れられた先は意外な場所だった。
体験入学で迷い込んだ庭園だ。今は初夏らしく、ポピーの花が満開だった。赤、黄色、白、オレンジのカラフルな花畑が広がっている。
だが、ここは裏門近くの奥まった場所にあるため、教室がある普通棟から結構距離が離れており、他クラスからの認知度は低い。何度か、緑地土木科の生徒が実習服で作業しているのを遠目で見かけたことがあるぐらいだ。
ビジネス総合科の授業は商業科のような内容なので、同じ高校でも別の学科が何をしているのかは未知の領域である。まさか、三牧くんがこの場所を知っているとは思わなかった。



