鉄柵の向こうには、色とりどりの花が咲き誇っていた。手入れが行き届いている庭園は西洋風で、芝生の上には左右対称の模様に沿って白い花が植えられていた。学校案内の資料を持っていた友達いわく、緑地土木科が卒業研究のため毎年手を加えているらしい。年々どんどん豪華になっているのだとか。
 薔薇のアーチをくぐり抜けた先には噴水があった。高く吹き上げられる水しぶきの音が心地よく、休憩用のベンチも備え付けられ、こんなところで読書できたら最高ではないだろうかと夢見てしまう。
 それまで白紙だった進路希望調査票に志望校を記入し、わたしは人生で一番勉学に励んだ。学校の宿題と塾で出された宿題をこなし、どうにか合格圏内まで順位を伸ばした。担任の先生は泣いて喜び、そこまで心配をかけていたと知らなかったわたしは困惑した。

 かくして第一志望校にめでたく受かった、まではよかった。

 しかしながら、わたしは朝がめっぽう弱い。