バス通学の園川さんと寮生の三牧くん

「ゲフッ。こ……告白なんてできるわけないよ。自分がどうしたいのかもわかっていないし。そもそも、好かれている保証だってないんだよ」

 必死に否定すると、小奈都ちゃんは片眉を器用に吊り上げた。

「そうかなぁ。かなり脈ありと、あたしは睨んでいるけど」
「な、何をおっしゃるのやら! 恋愛初心者のわたしにはとても付き合う想像なんてできないよ。とにかく、今のわたしにはまだ早すぎる! いろいろと!」

 わたしはぶんぶんと頭を横に振る。
 告白され慣れている小奈都ちゃんとわたしとでは経験値が違いすぎるのだ。

「志桜は難しく考えすぎじゃない? 熱烈な愛で結ばれたカップルなんて稀だよ。なんとなくその場の勢いとかで付き合う人も多いんだから。とりあえず付き合ってみれば? 付き合い始めて好きになるパターンもあるし、やっぱり無理ってなったら別れればいいし。合うか合わないかは実際に試してみないとわからないでしょ。まずは当たって砕けてきなさいよ。慰めてあげるから」
「慰める前提なの!? うまくいくかもわからないのに、純然な若者をけしかけないでよ」