バス通学の園川さんと寮生の三牧くん

「志桜、この前は蜜柑だったでしょ? なら今日は苺ミルクの日じゃない。あんた、だいたい交互に飲んでるんだから。悩む時間がもったいないわよ」
「……確かに」
「そこで納得するところが志桜らしいわ」

 そう言いながら小奈都ちゃんはコーヒー牛乳を買い、近くにあったベンチに上品に座る。わたしもその横に腰かけ、ストローをくわえた。うん、甘くて美味しい。疲れた頭が癒やされていく。

「それで? 最近ため息ばっかりだけど、なんか悩み?」
「う。……な、悩みというか、初めての感情を持て余しているというか。普段通りに生活できなくなってしまって……わたしは一体どうしたら」
「ほほう。詳しく」

 聞き上手な小奈都ちゃんに包み隠さずぺろりと話し、わたしは紙パックの角を両手でぎゅっと握りしめる。

「それでね、必要以上に意識しちゃうの。前まではこんなんじゃなかったのに。絶対わたし、挙動不審だった。このままだと通報されちゃう。どうしよう、小奈都ちゃん」
「んー……。志桜はどうしたいの? 告白して三牧くんと付き合いたい?」