すぐ横に三牧くんが座っているという事実に、心拍数が高くなるのがわかった。しかし、そんなことを知らない三牧くんは柔らかに笑う。
「おやすみ」
「……お、おやすみなさい」
ここで寝ないという選択肢はない。そう自分に言い聞かせ、無理やり目を閉じた。
けれども、意識は覚醒したままで一向に眠りは訪れない。
一体、今までのわたしはどういう神経で寝ていたんだろう。いつもは気づいたら学校だったのに、全然眠気が来ない。異常事態だ。
今日は時間の流れがすごく遅く感じた。まさかわたしが寝たふりをする日が来るなんて、家族が聞いたらひっくり返るに違いない。自分でも信じられないのだから。
◇◇◇
昼休憩、わたしは講堂裏の自販機の前にいた。
苺ミルクにすべきか、蜜柑ジュースにすべきか。実に悩ましい。真剣な表情で唸っていると、後ろからにゅっと出てきた指先がポチッとボタンを押した。ガコンという音とともに、紙パックがひとつ落ちてくる。
「えぇっ!」
あわてて振り向けば、中学からの親友である小奈都ちゃんがいた。悪戯成功とでも言わんばかりに口の端を上げている。
「おやすみ」
「……お、おやすみなさい」
ここで寝ないという選択肢はない。そう自分に言い聞かせ、無理やり目を閉じた。
けれども、意識は覚醒したままで一向に眠りは訪れない。
一体、今までのわたしはどういう神経で寝ていたんだろう。いつもは気づいたら学校だったのに、全然眠気が来ない。異常事態だ。
今日は時間の流れがすごく遅く感じた。まさかわたしが寝たふりをする日が来るなんて、家族が聞いたらひっくり返るに違いない。自分でも信じられないのだから。
◇◇◇
昼休憩、わたしは講堂裏の自販機の前にいた。
苺ミルクにすべきか、蜜柑ジュースにすべきか。実に悩ましい。真剣な表情で唸っていると、後ろからにゅっと出てきた指先がポチッとボタンを押した。ガコンという音とともに、紙パックがひとつ落ちてくる。
「えぇっ!」
あわてて振り向けば、中学からの親友である小奈都ちゃんがいた。悪戯成功とでも言わんばかりに口の端を上げている。



