バス通学の園川さんと寮生の三牧くん

 勘違いしてはだめだぞ志桜(しおう)。これは男子の一般論であって、わたし個人を賞賛する言葉ではない。自惚れは厳禁。勝手に期待したら大怪我をするというやつだ。
 必死に自分に言い聞かせていると、三牧くんは二回目の爆弾発言をした。

「実を言うと一度、編み込みをしてみたいなって思っていたんだよね」
「……ちょっと待って。三牧くん、編み込みまでできるの!?」
「妹にせがまれて練習したんだ。女の子に泣かれると弱いんだよね、僕」
「わたしできないよ。すぐほどけちゃって、見本みたいにならないの。いいなぁ、妹さん。わたしにも万能な兄がいたら頼めるのに」
「…………よかったら、編んでみようか?」
「いいの!?」

 食い気味に言うと、三牧くんが驚いたように一度目を丸くさせ、破顔する。

「喜んで」

 数日前にボタンを直してもらったベンチに座り、後ろに立った三牧くんが器用に編み込みを施していく。