「あ、帰ってきた。おかえり、美夜」 「……!」 夏休みに入って一週間が経った。 その日も夏期講習から帰ってきて、今は夕方五時といったところだった。 玄関に母の物ではない女性の靴が置いてあり、まさかと思って恐る恐るリビングに入ると。 「あら、この子が美夜ちゃんよね?」 「っえ……あ、」 「はじめまして、如月璃來(きさらぎりら)です。伊織と交際しているの」 案の定、兄の彼女の璃來さんがいた。 会うのは初めて。