気になって少し開けられていた扉の隙間から中を覗くと、自分で上げたボールを高く飛んでスパイクを決めている和佳ちゃんがいた。
その後ろ姿は眩しくて、強くて、さすが噂通りのかっこいいキャプテンの後ろ姿だと惚れ惚れした。
しかし、ふとボールを拾っている和佳ちゃんの横顔が見えてその顔は涙でぐしゃぐしゃになっていることに気づいた。
そこで俺は和佳ちゃんが誰よりも一番罪悪感を感じていて、誰よりも一番悔しい気持ちを抱え、バレーが苦しいくらいすごく好きだと思っていることを知った。
少なくとも裏でこっそり泣きながら、負けた後でも打つことをやめられない和佳ちゃんは根からのバレー馬鹿なんだ。
「なんで高校ではバレー続けなかったの?」
「…別に、高校でも続けたいと思ってたほどバレーが好きなわけじゃないし。腕だって痛くなるし突き指だって何度もするし、いいことなんて一つもなかったからね。やめたいと思うのが自然でしょ?」
嘘をつく時ほど、和佳ちゃんはよく笑う人だ。
「よくわかんないけどさ、今日のスパイク打ってる時の後ろ姿、あの頃となんにも変わってなかったよ。今も大好きなくせに、強がっちゃって」
「は、はあ!?なによえらそうに!てか、あの頃っていつのこと?何も知らないくせに、槙野が私のこと知ったように言わないでよね!」
「知ってるよ」
最終下刻時間を知らせるチャイムが鳴り響き、和佳ちゃんに背を向けて歩き出しながらにっと笑いかける。
「友達だからな。知ってるよ」
和佳ちゃんは「はあ?」とわけがわからないと言った様子で怪訝そうに首を傾げていた。
今はまだ、俺だけの秘密にしておこう。
いつか君の本当の気持ちを話してくれるようになるその時まで、今はまだ“友達”のままで隣にいたいから。
その後ろ姿は眩しくて、強くて、さすが噂通りのかっこいいキャプテンの後ろ姿だと惚れ惚れした。
しかし、ふとボールを拾っている和佳ちゃんの横顔が見えてその顔は涙でぐしゃぐしゃになっていることに気づいた。
そこで俺は和佳ちゃんが誰よりも一番罪悪感を感じていて、誰よりも一番悔しい気持ちを抱え、バレーが苦しいくらいすごく好きだと思っていることを知った。
少なくとも裏でこっそり泣きながら、負けた後でも打つことをやめられない和佳ちゃんは根からのバレー馬鹿なんだ。
「なんで高校ではバレー続けなかったの?」
「…別に、高校でも続けたいと思ってたほどバレーが好きなわけじゃないし。腕だって痛くなるし突き指だって何度もするし、いいことなんて一つもなかったからね。やめたいと思うのが自然でしょ?」
嘘をつく時ほど、和佳ちゃんはよく笑う人だ。
「よくわかんないけどさ、今日のスパイク打ってる時の後ろ姿、あの頃となんにも変わってなかったよ。今も大好きなくせに、強がっちゃって」
「は、はあ!?なによえらそうに!てか、あの頃っていつのこと?何も知らないくせに、槙野が私のこと知ったように言わないでよね!」
「知ってるよ」
最終下刻時間を知らせるチャイムが鳴り響き、和佳ちゃんに背を向けて歩き出しながらにっと笑いかける。
「友達だからな。知ってるよ」
和佳ちゃんは「はあ?」とわけがわからないと言った様子で怪訝そうに首を傾げていた。
今はまだ、俺だけの秘密にしておこう。
いつか君の本当の気持ちを話してくれるようになるその時まで、今はまだ“友達”のままで隣にいたいから。

