「…なんでだよ。どう考えたって、俺の勝手な八つ当たりだろ…?棗が謝る必要なんて、何一つないのに…」


そうだよ。最低だと罵ってくれた方がずっとマシなのに。

どうしておまえはそうやって全部自分が悪いと俺を庇うんだよ…。


「今のは、中学の話な」

「え…」


突然棗に頰をグーでぶん殴られ、無様に吹き飛ぶ。


「え、は…?」


じんじんと痛む頰をおさえながら、わけがわからなくて棗を見上げる。


「茉莉花に手を出そうとしたこと、冗談でも許さねぇ。一発殴らせろ」

「は…?いや、もう殴ってんじゃん…」


目がチカチカして気絶するかと思った。

ていうか、いきなりすぎて殴られたと理解するのにも時間がかかった。


「じゃあおまえも遠慮なく、俺を殴れ」