最近この関係を終わらせようとしたがっていた茉莉花だったけど、それでも最終的には私の悪女でいる道を捨てられなかったというのに、他のことはどうでもいいといった様子で茉莉花は一人の男の子しか頭にないようだった。

それほどまでに茉莉花は、私の手がもう届かないほどに強く成長していた。

たった一人の男の子に恋をしただけで。


「あーあ。ついにはっきりと言われちゃったね」


ふと、柊弥先輩がいたことに気づく。


「もう悪女の茉莉花ちゃんはこの世にいないんだよ」

「…何か、知ってるんですか?」


まるで、何かを含んだかのような言い方をする柊弥先輩にムッとしながら尋ねる。


「オリエンテーションの日に、美亜ちゃんがバケツの水を自分でかけてたのをたまたま見ちゃったんだ。だから茉莉花ちゃんが悪女を演じてるってことは知ってたよ」


なんだ、この人は知ってたんだ。

不思議と誤魔化す気も起きず、バレたことなんてどうでもいいと思えた。

もう茉莉花はなんて脅しても私のために悪女になることなんて二度とないだろうから。

私はまた、一人ぼっちになってしまうんだ。