昔からずっと茉莉花のことが嫌いだった。

早くに両親を亡くした茉莉花に最初はかわいそうだと同情したけど、両親がいなくても茉莉花は人から好かれることが得意な性格だったから多くの友達がいた。


両親はいるけど友達はいない私。

両親はいないけど友達はいる茉莉花。

毎日眩しく輝いていたのは茉莉花の方だった。


家では両親が実の娘である私を最優先してくれて気分がよかったけど、学校に行けば私は一人ぼっちだった。

だから、お父さんとお母さんの目を気にしていることをいいことに私の悪女になってと茉莉花に頼んだ。

茉莉花が私の悪女となってからは全てがうまくいった。

かわいそうな私を憐れんでたくさんの人が集まってくれるようになり、反対に茉莉花に近づく人は減っていった。


自分でも最低なことをしているとわかっていた。

だけど、一度知ってしまった楽園を手放すことなんてできず茉莉花の気持ちもお構いなしに私は茉莉花を利用し続けた。

この世界のヒロインは自分なのだと信じて疑っていなかったから。


「もうこれ以上、私から大切な人を奪わないでよ!」


いつも私に従順だった茉莉花が初めて声を荒げて反論してきた。