坂上くんの力は強くて身動きを取ろうにもぴくりとも動かない。

ぶわっと恐怖が押し寄せてきて、震えていることを悟られないようにきっと睨みつける。


「…離して」

「七瀬さんには悪いけど、あいつを絶望の底に堕とすためにも俺に協力してもらうね」

「ちょ…何するの!」


坂上くんが私のバイト着のシャツのボタンを一つずつ外していき、下着が露わになる。


「恨むならあいつを恨んで。俺の大切な人を奪ったあいつを」

「あいつ…?」


一瞬だけ、坂上くんの笑顔が苦しそうに歪んだ。


「祐樹!やめろ!」


お店に入ってきた棗が坂上くんを勢いよく殴り飛ばし、坂上くんは机を巻き込んで倒れ込んだ。


「おまえ、何してんだよ」


自分のブレザーを私にかけてくれた棗が、鋭く坂上くんを睨みつけていた。