「ちょ、茉莉花!前前!」

「…え」


ぐいっと和佳が腕を引っ張ってくれたおかげで、目の前の階段から落ちずにすむ。


「あ、ありがとう和佳…」

「もう、危ないでしょ!茉莉花ってば、最近ずっと上の空だけど一体どうしたの?」


和佳の指摘にぎくりとしながら思わず目を逸らす。


「えっと…」


うっかり告白をしてしまった一週間前から、私はとことん棗を避けてしまっている。

そんな私に何か言いたげだった棗もさすがに最近では諦めて距離を取ってくれている。


「あのね、実は…」


廊下の隅に和佳を連れて行き周りに誰もいないことを確認してから、ずっと黙っていた棗への想いを打ち明ける。


「ええ!茉莉花、やっと告白したの!?」

「ちょ、しーっ!」