「行けないんです…」


私はどうすればいい?

平穏な日常を、美亜から解放される自由を、ずっと望んでいたのは私。

だけど、棗のことを一度諦めようとしたけどできなかったのも私。

一体どうすることが正解なの…?


「本当にそれでいいの?茉莉花ちゃんが一番大切なものはなに?」


私が、一番大切なもの…?


「あれ、茉莉花と柊弥先輩、何してるのー?」


お化け屋敷から出てきた美亜は嫌そうに顔をしかめている棗の腕に自分の腕を絡めていて、上機嫌にニコニコとしていた。

それを見た瞬間、必死に保たれていた糸がぷつんと音を立てて切れた。


「私、次は観覧車に…」

「私が棗と乗る」

「…え?」


美亜と棗の間に割り込んで、棗の腕を掴む。