美亜の刺すような視線に反射的にそう尋ねていた。

変わろうと思っても今までの染みついた経験から、美亜が欲しい言葉を自然と口にする癖はまだ変えられない。

それにさっきの美亜のお願いだって聞かないと…。


「私はあれ!棗くんとペアで入りたいなー」


美亜が指を指したのはお化け屋敷だった。


「なんで俺がおまえと…」

「だって茉莉花、柊弥先輩と二人で話したいって言ってたし、私は棗くんと話したかったからちょうどいいでしょ?ねえ茉莉花?」


そんなこと、言っていないのに…。

じっと見つめてくる棗からふいっと目を逸らし、「好きにして」と答える。


「…そうかよ」


棗はぶっきらぼうにそう呟くと、ズカズカとお化け屋敷に向かって歩いていった。

その後ろを美亜が追いかけていく。

私は立ち尽くしたままその後ろ姿を見送ることしかできなかった。


また美亜の言いなりになっている私を棗は軽蔑したかな…。