「何も知らない部外者が、口を挟まないでよ」


掴まれていた腕を振り解き、負けじと男の子を睨み返す。


何も知らないくせに。

みんな勝手なんだよ。

この外見でちやほやと寄ってきたかと思えば、ちょっとした演技で簡単に騙されて離れていくのだから。


中学生になって、親の関心が美亜にしか向いていない頃、学校だけが私の居場所だった。

それなりに仲の良い友達もいて、家では私を見てくれる人がいなくても学校ではみんながちゃんと私を見てくれるから嬉しかった。

だけど、美亜はそんな些細な幸せすらも私には与えてくれなかった。

元から美亜は同年代の子どもと話すことが苦手な人見知りで、友達と呼べる友達はいなかったと思う。

それなのに私は友達に囲まれていることが気に入らなかったのか、自分をわざといじめてくるように頼んできた。

美亜のために悪女になってくれと、そう頼んできたのだ。


本当の美亜は天使でもなんでもない。

これ以上家で過ごしにくくなりたくないなら言うことを聞けと脅してくるような、そんな悪魔だ。

もちろん私に拒否権なんてない。

一人で生きていく力もないのだから、美亜に逆らうことなんてとてもじゃないけどできなかった。