「茉莉花、一緒に帰ろ〜」


放課後になり、先に支度を終わらせた和佳が席までやってきてくれるけど、申し訳なく思いながらも「ごめん」と断る。


「今日、バイトなんだ」

「え、バイト?茉莉花ってバイトやってたっけ?」

「今日からなの。お昼代とか放課後に和佳と遊ぶためには稼がないとだから」

「茉莉花の家ってお昼代も自分持ちなの?大変だね」


給食からお弁当に変わり、もちろん私の分までお母さんが作ってくれることはないし、この前のオリエンテーションの日に美亜の機嫌を損ねてから、両親から私に対する風当たりも強くなっていて家にいるのも苦痛だから少しでも違うことをして気を紛らわせていたかった。


「本当の家族じゃないからね。そこまでしてもらう資格なんてないし、自分のことは自分でしっかりやらないと」

「血が繋がってなくても、戸籍上は家族なんだから茉莉花がそこまで背負うことないのに…。なんか理不尽だよ」


和佳にはオリエンテーションの日に、本当のことを話す際にうちの複雑な家庭についても少し話した。

それから同情してくれているのか、何かと家のことを気にかけてくれていて逆に申し訳なかった。


「いいの。もう慣れちゃったし。それにバイトもずっとやりたいと思ってたから。学校の最寄駅前のカフェだから、和佳も今度遊びに来て?」