腕にしがみついている美亜に名前を呼ばれ、意味ありげに微笑まれた。


「高校でも、よろしくね?」


いつもニコニコと天使のような笑顔を浮かべている美亜が、私にだけ見せる裏の顔がある。

その顔をするということは、あの(・・)サインだ。


「きゃ…っ」


腕を掴まれていた美亜の手をバシッと振り払うと、美亜は大袈裟にその場に倒れ込んだ。


「気安く腕組まないでくれる?仲がいいと思われたら困るから」

「…ごめんね、茉莉花」


ザワザワとそれを見ていた周りが騒ぎ始める。


「何あれ…。七瀬茉莉花の本性ってあんな感じだったの?」

「ひどい、美亜ちゃんかわいそう…」

「いくらなんでもあれはいじめじゃね?」


そう、これでいいの。