このままみんなに会えなかったらどうしよう…。

さっき和佳が言っていた熊が出てきたら、私なんて一飲みされてしまう。

怖い。誰か…誰か助けて。


ぎゅっと目を瞑りながら頭を抱えていると、突然後ろから何かが腕を掴んできた。


「きゃー!やだやだ…っ、食べないでぇ…っ!」

「おい、落ち着け!俺だ!」


ハッと顔を上げると、私の腕を掴んでいたのは汗だくになっている棗だった。


「…棗?」

「おまえがいないことに気づいて戻ったら、頂上を指す看板が逆向きになっていたからまさかと思って。こんなところまで来てたのか」

「…え?」


あの看板、逆だったんだ…。

どうりでみんなと一向に合流しないし頂上に辿り着けなかったわけだ。

そんなことよりも、もしかしてこんなに汗だくになってまで私を探してくれていたってこと…?


「早く戻るぞ。二人も心配してる」