ああ言ったはいいけど、和佳に引かれてなくてよかった…。

せっかくできた友達を失うわけにはいかないもんね。


「いつの間に二人って仲良くなってんのー?俺も混ぜてよー」

「げ、槙野。いい茉莉花?槙野は可愛い子が大好きなただの変態だから、話しかけられても答えなくていいからね。こいつのことは中学の頃から嫌と言うほど知ってるし、なんかされたらすぐ言うんだよ?私がボコボコにするから」

「ひどいよぉ、和佳ちゃん。可愛い子はたしかに好きだけど、その中でも和佳ちゃんがいつだって一番なのにさー」

「はいはい。そんなことよりも茉莉花、お菓子いる?いっぱい持ってきたの」

「そんなことって、ひどいなぁー」

「…槙野、おまえそろそろ黙れ」


通路を挟んで向こう側に座っている槙野くんの隣には、なぜかもうすでに疲れた様子の棗がいた。


「俺たちも今仲深めてたとこなんだよ。な?なーつめ」

「…まじでうるさい。無理矢理隣座るし、寝たいって言ってるのにずっと話しかけてくるし、まじで地獄」

「またまたー。照れちゃって」


今にもブチ切れそうな様子の棗に、槙野くんは全く気にした様子なくバシバシ肩なんかを叩いている。


「あ、バスが発車するまでまだ時間あるし、私トイレ寄ってくる!茉莉花も行く?」

「ううん、私は大丈夫」