藤峰さんは立ち止まったままポカーンと私を数秒間見つめると、ふっと吹き出した。
「何それ。七瀬さんいい人すぎるでしょ。あーあ、私やっぱりあの三人とは合わなかったのかも。人の悪口を平気で言ったり、偏見で決めつけたり、そういうの一番嫌いなんだけどいつの間にか合わせて笑ってる自分がいて、嫌になる。素でいられないのに仲良くなれるわけないじゃんね。嫌われるのが怖いってそれしか考えてなかった。私ね、本当は七瀬さんみたいな人と友達になりたいと思ってたんだ」
「…え?」
「悪女だとか色々噂されてるのは知ってるよ。でも私からしたら“で?”って思うわけ。七瀬さんのこと何も知らないのに知った風にあれこれ噂する方がよっぽど悪だと思うし、言いたいことを本人にはっきり言える七瀬さん、めちゃくちゃかっこよかったよ。勇気出して班分け誘ってよかった」
にっと眩しく笑いかけてくる藤峰さんに、今度は私がぽかーんと見つめてしまう。
「私が…かっこいい…?」
「うん。色々噂されてても七瀬さんはいつも背筋が伸びてて綺麗で堂々としててかっこいいなって思ってたから、ずっと話してみたかったんだ。それが私があの三人から離れて七瀬さんに声をかけた理由だよ」
いつも噂のせいで関わったことがない人でも私を避けて、同じように陰で言う人ばかりだったのに。
初めて噂を鵜呑みにせずに本当の私を見ようとしてくれる人と出会った。
「私が悪女だって信じなかったの…?」
「私は元から七瀬さんが悪女だなんて信じてなかったんだけど、話してみてより噂とは違う人なんだなって思ったよ。それとも七瀬さんはやっぱり悪女なの?」
誰に何を言ったって信じてくれないから、もう諦めていたのに。
「何それ。七瀬さんいい人すぎるでしょ。あーあ、私やっぱりあの三人とは合わなかったのかも。人の悪口を平気で言ったり、偏見で決めつけたり、そういうの一番嫌いなんだけどいつの間にか合わせて笑ってる自分がいて、嫌になる。素でいられないのに仲良くなれるわけないじゃんね。嫌われるのが怖いってそれしか考えてなかった。私ね、本当は七瀬さんみたいな人と友達になりたいと思ってたんだ」
「…え?」
「悪女だとか色々噂されてるのは知ってるよ。でも私からしたら“で?”って思うわけ。七瀬さんのこと何も知らないのに知った風にあれこれ噂する方がよっぽど悪だと思うし、言いたいことを本人にはっきり言える七瀬さん、めちゃくちゃかっこよかったよ。勇気出して班分け誘ってよかった」
にっと眩しく笑いかけてくる藤峰さんに、今度は私がぽかーんと見つめてしまう。
「私が…かっこいい…?」
「うん。色々噂されてても七瀬さんはいつも背筋が伸びてて綺麗で堂々としててかっこいいなって思ってたから、ずっと話してみたかったんだ。それが私があの三人から離れて七瀬さんに声をかけた理由だよ」
いつも噂のせいで関わったことがない人でも私を避けて、同じように陰で言う人ばかりだったのに。
初めて噂を鵜呑みにせずに本当の私を見ようとしてくれる人と出会った。
「私が悪女だって信じなかったの…?」
「私は元から七瀬さんが悪女だなんて信じてなかったんだけど、話してみてより噂とは違う人なんだなって思ったよ。それとも七瀬さんはやっぱり悪女なの?」
誰に何を言ったって信じてくれないから、もう諦めていたのに。

