「陰口なんてみっともない。私よりもあんたたちの方がよっぽど“悪女”だと思うけど?人のこと悪女とか言う前に、自分の悪口言ってる時の顔鏡で見てみたら?ものすごいブスだよ。あんたたちが友達だなんて、藤峰さんがかわいそう。見る目ないんだね」

「な…っ!」


三人は怒りで顔を真っ赤にしていたけど、他の掃除当番のクラスメイトたちがチラチラと視線を向けていることに気づいたのか、乱暴に箒だけ投げ捨てて教室を出ていった。


「あーあ、まだ途中なのに帰るなんて無責任な人たちだなぁ」

「え…藤峰さん」


落ちている箒を拾い集めた藤峰さんがにこっと微笑んできた。


「私も手伝うよ。どうせ暇だし」


藤峰さんが手伝ってくれたおかげで掃除はあっという間に終わり、なぜか流れで藤峰さんと一緒に帰ることに。


「さっき、庇ってくれてありがとね。嬉しかった」

「いや、そんな…」

「前からあの三人によく思われてないことは知ってたの。元々三人で仲良かった中に成り行きで入れてもらってて、三人にしかわからない話とかされることもやっぱりあって私だけ浮いてることにも気づいてた。それでも、最初に話しかけてくれたのが嬉しかったから今更抜けることもできなくて、嫌われたくなくて作った自分でいたせいかな。結果的に、陰口言われてるなんてダサいよね」

「…そんなことないでしょ。どんな理由があったにしても、陰で悪口を言うなんて間違ってる。むしろ一緒にいたくせに藤峰さんのいいところに何一つ気づけてないあの人たちとこれ以上藤峰さんが一緒にいる必要はないと思う。…なんて、私も今あの三人と同じことしてるかも。ごめん、藤峰さんの友達悪く言って」