二人は周りからの反応も全く気にしていない様子で、こんなこと初めてで少し嬉しいと思ってしまう。


「俺も入っていいか」

「…え?」


隣の席に視線を向けると、棗が頬杖をつきながらじっと真っ直ぐ私を見つめていた。

棗は普段話せないからこそ特別なイベントで仲良くなろうと必死な女子たちにたくさん囲まれていて、相変わらず冷たく返していた。

しかし班を組むことは必須なため、一体どこに入るのだろうと少し気になってはいたけど、まさか私に言ってくるなんて思いもしなかったから驚いて目を丸くする。


「聞こえなかったのか?俺もおまえらの班に入っていいかと聞いたんだ」

「え…」

「いいじゃん!向坂っていっつも冷たいくせに本心では俺と仲良くしたかったんだな!俺もおまえと仲良くしたいと思ってたし、この際に仲を深めような!」

「下心あるやつらの班に入るよりはマシだと思っただけだ。勘違いするな」

「ちょ、それ周りにも失礼だと思うけど!」


ザワザワとショックを受けたように話している女子たちを気遣ったのか、藤峰さんがキッと棗を睨みつけていた。

当の本人はあまり気にした様子はなく、「じゃあよろしく」と突っ伏して寝てしまった。

なんだか個性的な班になってしまったけど、大丈夫だろうか…?