新入生オリエンテーションの日が三日後に迫っていた。

新入生オリエンテーションとは、一泊二日で山登りをしたりみんなで料理を作ったりと、仲を深めることが目的らしい。

そのため今日の六限は男女混合の班決めをしなくてはいけないのだが、もちろん…。


「ねえ、七瀬さんどこの班に入れるの？」

「こっちはもう定員オーバーだから嫌だよ」

「一緒に山登って何されるかわかんないし怖いよねー」


自席にぽつんと取り残されている私に、周りから容赦なくコソコソと話す声が聞こえてくる。

困ったな…。私と組みたい人なんて誰もいないだろうし、頼んだところで快く入れてくれる班もないだろう。

それならどうせ私は仲を深めたい人なんて誰もいないし、美亜もいるイベントに参加することはなるべく避けたいから休んだ方がマシだ。


「七瀬さん、班組まない？」


担任に言いに行こうと席を立とうとしたところで、外はねボブの美人な女の子が前に立ってきた。


「…え？」

「ちょうど私余っててさ。まだ誰とも組んでないなら組まない？」


たしかこの子の名前は、藤峰和佳(ふじみねわか)ちゃん。

バスケ部のクラスでも目立っている三人組女子の中に帰宅部である藤峰さんが入って四人でよく行動していて、そんな藤峰さんと話したことは一度もない。