向坂棗。高一。

基本的にクールで誰にでも冷たく、あまり人と群れない一匹狼といった印象。

特に告白をしてくる女子には容赦なくきっぱりと断ることから冷酷王子と呼ばれている。


向坂柊弥。高二。

頭良し、運動神経良し、顔も性格も完璧な砂糖王子。

男女問わずの人気者だが特定の彼女はおらず、あまりにも完璧すぎて周りも鑑賞する方がいいとのこと。


悪女という噂がすっかり広まってから人と関わることが全くなくなった今、周りの会話を盗み聞くことが日課となっていた。

そのため、向坂兄弟についてもよく知ることができた。


「棗くん、宿題のノートなんだけど…」

「…あ?そこにあるだろ。勝手に取っていけよ」


ぎろりと睨まれたクラスメイトの女子は慌てたように去っていった。


棗は常に機嫌が悪いオーラを放っていて、思ったことも率直に口にするタイプだ。

初めは顔はいい棗と仲良くなろうと女子たちが群がってきていたけど、氷のように冷たい棗の反応に女子たちは直接話すのを諦めたようだった。


「はあ…」