「え?なんでかって?それはもちろん・・・」
佑都さんのお父さんがイタズラっぽい笑みを浮かべた。

「佑都の許嫁(いいなずけ)だからに決まっているだろう。」


え??
私のい・い・な・ず・け?

「どうして私には許嫁がいるんですか?」

「え?なぜかって?」

「それは、きみがきみの一家とこちらの一家を結ぶ役になってほしいからだよ。」
その言葉に、含まれる重い責任に一気に気が重くなる。

「わ、私が、そのような役割を?」
こう言う役割はいつも、風華姉様が任されてきた。

「で、でも・・・そういうことは風華姉様が・・やるのではなくて?」

「まぁ、たまにはいいじゃないの。」
お母さんはそう言ってにかっと笑った。


「じゃあ、改めてよろしくね、蜜華ちゃん・・・いや、蜜華。」
不意打ち呼び捨て!
この人、意外と・・・・

そこまで考えて、首を振る。そして、にっこり、得意の作り笑顔を浮かべた。
「許嫁さんがいるだなんて、知りませんでした。佑都さんのお父様の希望もありますし、私は佑都さんと住んでも問題ありませんよ」