「きゃあっ!神、神神神、神対応王子様ぁっ!」

そこに立ってたのは、佑都さんだった。



あぁ、なんかこんなパターン、どっかの恋愛小説でよくある展開だなぁ・・・・
なんとも、ありきたりな、パターン・・・・

騒ぐ女子たちを前に、佑都さんは、私の隣の席に悠々と座ると、口を開いた。

「あ〜あ、蜜華、可哀想。俺と喋っただけでこんなに騒がれるなんて。ねぇ?」

佑都さんが優しい眼差しを向けてきた。
わたしは黙って頷いておく。


「俺は、純粋無垢でヒステリックじゃない子が好きなんだ。だから、悪いけど君たちはどんなに努力しても俺を振り向かせることはできないよ。それに、君たちが俺を振り向かせられないのは、純粋無垢じゃなくて、ヒステリックってだけじゃない。
俺の、大事な大事な、世界一可愛い彼女、蜜華をいじめたから俺のことを振り向かせることはできないよ」


わっ、私が、”大事な大事な、世界一可愛い彼女”!?
佑都さんは、私を庇うために大事な彼女って嘘をついてるってわかってても、ドキドキしてしまう。
ときめいてしまう。


私と佑都さんの関係は、友達でも、幼馴染でも、ましてや彼氏彼女でもない。
ただの、勝手に決められた、許嫁ってだけ。

だから、こういうふうにドキドキして、心の隅で期待している自分は、ただの自惚(うぬぼれ)の思い上がり。
そんなことはわかってるんだけど・・・・・