「よろしくね。ちなみに、蜜華ちゃんはいくつなの？」

「え・・？1６です。」

「じゃあ、同い年だね。」
初対面なのにこんなに優しくしてくれる人なんて絶対いい人じゃん・・・！
私は胸を高鳴らせる。

「ねぇ、もしかしてさ、蜜華さんって、蘭乃(らんの)女子高校？」

「はい、そうです」

「やっぱり。僕、蘭乃女子中学の近くの、水瞬(すいしゅん)男子高校なんだ。」

え・・・？水瞬？！この人、めっちゃ頭いいじゃん・・・
水瞬男子学園は、入れる人はほんの一握りの、男子の名門だ。
私の通う蘭乃女子中学も女子の名門だが、水瞬の方が偏差値が高かった。
学校ではめっちゃモテるんだろうな・・・
ぼんやりそんなことを思った。

「すごいですね。水瞬だなんて。」もうすっかり打ち解けてしまった。
と、そこに風華姉様が口を挟んできた。


「あら、ずいぶん仲良くなったのね。蜜華。」
でも、嫌な顔ひとつしない。風華姉様との仲がこじれて怒られるのは私だし。

「ええ、風華姉様。佑都さんは水瞬中だそうですよ。」

「へぇ、そうなのね。ごきげんよう、初めまして。蜜華の姉の風華です。みちた大学の一年生ですわ。」
華やかな笑みを浮かべて、愛想よく言った。
・・・また、姉様に負けてしまった。全然笑みも浮かべられない、言葉遣いも綺麗じゃない私より、風華姉様の方が、佑都さんには似合うだろうな。
せっかく私に会いたいって言ってくれたのに、ごめんなさい、佑都さん・・・

「はじめまして。桜木佑都です。」
二人はにこやかに自己紹介しあった。
それは、私から見てもすごくキラキラしててお似合いな姿だった。