「え?蘭乃の門の前」

『え?駅のホームで待つんじゃなかったの?も、もしかして・・・私が遅すぎてきちゃった、とか?』

「ん?まぁ、そう言うこと。で、なんで電話かけたの?」

『あのさ、えっとその・・・・先生に誰かに迎えにきてもらったほうがいいって言われたから、待ってて欲しくて・・・
だ、だけど、もう門の前にいるならいいけど』

「ん、わかった。ここで待ってる」

そう返事をして電話を切った。

ずっと、ここで待ってるってことは、蘭乃の女子たちにまだまだ騒がれるってことだよね。
だって、まだ全校帰ってないし。

うわ、辛いよ・・・早く蜜華きてくれないかな・・・

女子たちがきゃあきゃあ言いながら通り過ぎていく。

「さーくらぎさんっ!」
不意に、甲高い声で呼ばれてびっくりする。
俺、女子にあんまり桜木さんって呼ばれたこともないしさ。

見ると、蜜華と、その隣には、ゆるいお団子にリボンを結んだヘアスタイルの女子。
どうやら、その女子が俺を呼んだらしい。

「あ、蜜華」