「も、もしかして、蜜華を待ってるの?蜜華は今日体調悪くて保健室に行ったらしいけど、多分もう直ぐ来ると思う!」

ツインテールの女の子に言われ、俺は思わず声を小さく漏らす。

だって、保健室行くほど体調悪くなっちゃったってことでしょ?
大丈夫かなぁ・・・?

「あ、あの・・・」
すると、その女の子は恥ずかしそうにしばらく俯いてから意をけっしたように言った。

「私、城之内かなって言います!良かったら仲良くしてください。あの、蜜華とはお友達で・・・・」

うわ、また始まった。
女子のよそゆきの声の自己紹介。

わざとらしく身を捩りながら自己紹介してくるとか、無理。

思わず目を背けそうになっていると、握っていたスマホが震えた。

ディスプレイには、「蜜華」の表示。

俺はなんの迷いもなく画面をタップして、耳にスマホを当てた。

「もしもし?」

『も、もしもし・・・』
緊張してるのか、声が微かにうわずってる。

「どうしたの?」

『きょ、今日、体調崩しちゃったんですけど・・・・帰りが遅くてごめんなさい。今、どこにいますか?』