私はまだ帰宅部なので、帰りのホームルームが終わった後、早々に教室を出た。

ああ、どうしよう?入部申し込み、来週までなのに。ちっともやる気がでない。
何故か私は部活に入りたくない。家に居場所がないのに、学校にいるのはもっと胸が締め付けられるように痛い。
私の居場所は一体どこにあるんだろうか。


危うく、暗い思考理論に入り込みそうになって私は慌てて首を振る。
いつも広くて綺麗な玄関に焦茶色のローファーを揃え、自室に上がろうとすると、リビングの方から明るい声がした。
気になって、みると、そこには笑い合う風華姉様と、両親の姿。
風華姉様はニコニコ笑みを浮かべていた。
きっとまた何かで、褒め称えられているのだろう。

ぎゅっと、唇を噛み締めて自室へ上がろうとしたら、お母さんに呼び止められた。

「あ、蜜華。今帰ったところかしら?」

「・・・・そうだけど。」

「まったく、あなたはいつもただいまも言わないのだから・・・」
困った子ね。と首を振りつつ、お母さんとお父さんは私を手招きした。

「ちょっと、話があるんだけど。」
お母さんの向かいのソファに腰掛けると、お父さんが口を開いた。

「実はな、今週末、お父さんの知り合いのパーティーに招かれててな。」

「パーティー・・・?」

「ああ。そこで、蜜華に紹介したい子がいるらしいんだ。」
え?風華姉様じゃなくって私・・・?

「風華もいるんだが、どうしても蜜華がいいと言ってな。」え?そんなの、勿体なくない?

「それで、お父さん。知り合いって誰なの?」
風華が横から口を挟む。

「Sky・Goという飛行機会社の創業家の一家で、社長の人だよ。お父さんの知り合いなんだ。そこの息子さんが蜜華とぜひ会いたいらしい」
・・・Sky・Go
それは、すごく有名な飛行機会社だ。そこの社長さんってことは相当裕福だ。
きっと、そこの息子さんは、綺麗な人で、私には似合わない。それにしてもなんで私に会いたいんだろう?
私は横にいる風華姉様を見た。
憎らしいくらい整った顔立ちと、上品な立ち居振る舞い。私にはできない勉学もするする熟す。
私にこんな話が来るなんて裏があるんじゃ・・?なんて疑ってしまう。