「私は・・・いつだって、完璧な風華姉様と比べられてきました。こんなふうに、私が姉様に対して敬語を使うのも、姉様と私は違うって言い続けられてきたからです。
姉様がすごいのは、きっと努力のお陰ですよね。だから、私も努力を重ねてきました。
それで、いつも優しい姉様のことが自慢でもありました。だから・・・
私は、姉様にあんなふうに虐げられ、心が傷ついてしまいました。
私が未熟なのが悪いのに、私の話を最後まで聞いてくださってありがとうございます。
私は・・・頑張ってる、なんて言いませんけど、言えませんけど・・だけど、姉様。私は、姉様を信じてるからこそ少し、苛立ってしまって・・それを言えなかった私を、佑都さんがフォローしてくれただけです。だから・・・どうか、お許し願いたいです。」

普通、二歳年上の姉に頭を下げることなんてあり得ない。
だって、みんな、姉様なんて呼んでる人はいないし、いつも親しくしてると姉がいるかなは言ってる。

「・・・・」
重い沈黙。私は逃げ出したくなってしまう。
「・・・私も、悪かったけれど・・・」
ぽつり、と姉様がいつも通りの高い声で言った。
「ごめんね、ほんとは私、あなたのことが羨ましくて。だって、私にはいつもいいものが与えられてきて、だから、あなただけが許嫁がいて、少し嫉妬してしまったの。私の方が未熟ね。我ながら情けないですわ。ですから、寧ろ謝らねばならぬ方はこちらの方で・・・だから、ごめんね。」