私のお家はお嬢様家だった。
有名な会社の創業家で、いつも周りから一目おかれるような家庭。
そして、私は、お嬢様なことを隠していた。

だって・・・比べられるのが嫌だったから。
何とって?
それは、もちろん姉様とだ。


私には、2歳年上の姉、風華(ふうか)がいた。
風華姉様は、完璧だった。
類いなまれなる、天才であり、秀才だった。
容姿端麗
品行方正
温厚篤実
そんな言葉が似合う人だった。


難関の女子高校に進学して、特待生をキープ。定期テストでは、必ず学年一位か二位。
みんなにも優しくて、まさに理想の姉だった。
だけど、私は言うまでもなく、コンプレックスに悩まされてきた。
風華姉様は、両親からも期待されていて、必ずその期待の倍の結果を返す。
いつも笑って楽しそうで、羨ましいと幾度思ったことか。

私は・・・凡人だった。
勉学の成績も普通。スポーツはまあまあできるけど、それも平均より僅かばかり上回る程度。
だけど、私は必死に頑張った。
きっと、風華姉様も努力を積み重ねたから結果を残すことができているんだって信じて。

だから、姉様の叡智(えいち)に近づけるように勉強し、努力を積み重ねた。
お陰で、このあたりでは偏差値が一番高くて有名な、私立の女子中学に入学することができた。
テストの成績も常に学年5位以内をキープしてきた。
・・・姉様だってそうだったのに。私は、姉様と同じくらい努力して、成績もかなりよくなってきたのに。
褒めてなんかもらえなかった。期待なんかされてなかった。
でも、まだまだ、限界まで頑張って、この前のテストでは、科目別で全て一位を取り、見事学年一位に輝いた。
科目別で全て一位を取るというのは姉様はなかったから、きっと、褒めてもらえるだろうと、今度こそイケるだろうと思ってたのに・・・


なのに・・・